2007年までの作品(ただいま準備中)

2008年1月6日(日)
新年の五首

図書館に行けばお詣りする人と鉢合わせしてぐしゃぐしゃになる
組紐の髪飾りして満員の初詣バスに乗り揺られをり
真夜中に起きだし小机広げたりされど頭に三点リーダ
年末は眠りつつ咳く夫たりき小さな鼾をかく人日は
洋服と着物どちらが暖かきキーボード打つ手が凍えゆく

2008年1月20日(日)
伊予柑

伊予柑が十個ありたり皮剥けば柔らかき香が台所に満つ
夏みかんの鋭さ吾を苛めば好まず伊予柑ばかり買いゆく
ははそはの母に似てをり伊予柑は馥郁として優しき香り

2008年1月23日(水)
一月の雨・誰が袖

一月の雨は悪夢を消しそしてぬばたまの夜に流れ込む
ひめやかに誰が袖かおる袂の中に忘れたるが
宅急便訪ふを待てど夕刻を過ぎても来ざりけり
発熱のわが額には隕石が絶えず落ち来てはじけて砕ける

2008年2月7日(木)
ねこ鍋

ねこ鍋をパソコン画面の背景に設定しては悦にいる我
ねこ鍋では口ひげのある猫がすきパソコンの画面撫で回している
ねこ鍋と聞いてもしやと恐れたが猫を煮込んだ鍋ではなくって
鍋の中ぎちぎちに詰まる猫がいて何故にぎちぎちになりたいか猫よ
やわやわのねこの体を抱いて見たい猫を飼わなくなって久しく

2008年2月8日(金)
伊予柑糖蜜煮

往来で叫び出したき心地して一個の伊予柑むさぼり喰らふ
伊予柑に粗精糖をたっぷりとかけ鍋で煮るなり冬の正午に
琺瑯の鍋なけれどもジャムもどき作りてをりぬ如月十日
虫食いがあるウールの着物あり袴をはいて隠してしまふ
袴の裾踏んづけながら家の中歩き回る裾長ければ

2008年2月13日(水)
短歌の話ではないが

最近いい季節と言うのが短いと言う話になった。要するに暑いか寒いその二つになりつつあってすごしにくいことこの上ないと。
この冬はやたらと寒く、雪も東京あたりではじゃんじゃん降る。こういう時沖縄の気温がうらやましくなり、暑さにあえいでいるときは北海道がうらやましくなる。
日本は南北に長いのがよくわかる。

2008年2月23日(土)
髪を洗う

先週の今頃だったな左手も足も突っ張り歩けなくなった
地下鉄のホームに立ってくらくらとくずおれそうになったその日は
土曜日の救急病院かぜひきでぐったりとした人も多くて
見てみれば真っ赤な顔は私もで熱がずんずん上がりつつある
筋肉の凝りを緩める薬などもらって出れば雪が降り出す
それからはへろへろになりふらふらと病院めぐりに費やす時間
金曜日少し人心地ついて髪を洗おうとしたが洗えず
一週間ぶりに髪を洗ってるヒノキの香りのするシャンプーで

時々新かな口語で書いてみる。自分のページだからやってみることもできる。結社誌だとある程度固めておく方針でないと校正の人が無駄に悩みそうでやらない。

2008年2月25日(月)
マイナス三度

寒いとき着物を着るのは理にかなう着続け一年わかったことは
隙間風吹く部屋に寝る夫あり今日は鼾も立てず眠る

2008年4月6日(日)
残照の中

はらはらと残照の中散る桜 自転車の人を立ちどまらしむ
壊れ行くものなべてうつくし『細雪』ラストシーンの桜のことも
桜散るたびに日本の血が騒ぐ西行ならずとも今死なましと思ふ
桜散る下で早くもつぼみ膨らめり さつきかつつじか今でも知らず

2008年5月21日(水)
未明に

秋の日はつるべ落としというけれどなつの夜明けもあっという間だ
明けてゆく児童公園今はまだ誰の声も聞こえてこない
風邪の熱確かに引いたがもう一日のんびりせよとででぽっぽが言う

2008年8月12日(火)
スカイプ

仕事にてスカイプの導入はからむということありてスカイプはじむ
未明にはさびしい若者集まりて出会いを求めて会話なしをり
えっちなはなししようよ おばちゃんは何でも聞いてあげてる
朝が来て眠る人あり仕事へと出かける人ありPC閉じて

2008年8月21日(木)
リカちゃんハウス

その昔憧れだったあの家族夢のような華やかな家族
リカちゃんを買って欲しいと思へども言い出せざりき六才のわれ
就職に破れ結婚はむなし夢に出てくるリカちゃんハウス
リカちゃんのやうなからだを具備したる若き娘が現れるとは
夢の中夢の両親あらはれて我の頭を撫でてくれたり
うつしみの父は老いたり段々に皮肉を言ふこと多くなりたり